NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)とは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化された、自分の内と外に平和をつくるコミュニケーション手法です。
マーシャルは、私たちの対立・葛藤の背後には、「何(誰)が正しく、何(誰)が間違っているか」という物事の捉え方と、それに付随する「べき」「ねばならない」といった捉え方があると気づきました。正しさを巡る「力の奪いあい(Power Over)」は、他者との関係性においても自分自身の内面においても、暴力を正当化するロジックとして働きます。マーシャルはこれに対し「人は本来、よろこびからわかちあうことを楽しむ存在だ」と捉え、その本来の質に立ち返るために持つことができる2つの視点を提唱しました。それは「何が内面で息づいているか」「何が人生を豊かにするか」に意識を向けるということです。
NVCでは、このように内面でおきている体験に寄り添うことを「Empathy(共感)」を呼んでいます。自分自身にくつろぐことで、他者との間に、自然なわかちあいが可能になるようなつながりの質を育むことが可能となります。これが、「お互いをいかしあう(Power With)」関わりです。
NVCは、「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」という4つの要素に意識を向けることを通じて、こういったつながりの質をつくるスキルを高めるための実践的なアプローチとして知られ、企業や教育・医療機関、政府やNGO/NPO、コミュニティ、家庭やパートナーシップなど、さまざまな分野において活用されています。
参考:
・『NVC- 人と人との関係にいのちを吹き込む法』マーシャル・B・ローゼンバーグ博士(日経出版社)
・『「わかりあえない」を越える – 目の前のつながりから共に未来をつくるコミュニケーション・NVC』マーシャル・B・ローゼンバーグ博士著 (海士の風)
・NVC大学出版による出版物